WS10Eは、発光受光回路を外付けして反射光の強さを調べるセンサです。 サッカーチャレンジで床に引かれた白線の検出に使います。
WS10E
◆改良のため基板や部品の形状が変わることがあります
多くの反射光センサは、現在の反射光の強さに応じて信号を出力します。 走りながら白線を横切るときは センサの値を調べる時間間隔が長いと白線を見逃すことがあります。 そうならないために、時間のかかる命令を避けるプログラムにしたり、 マイコンの持つ割り込み機能やハードウエア処理など知識を必要とする対策があります。
このような対策ができる人はそれに挑戦しましょう。
でも、それらの対策が難しい場合はこのセンサを使いましょう。
WS10Eは白線を検出するとその信号を一定時間延長して出力するため見逃しを減らすことができる
デジタル出力反射光センサです。
WS10Eは発光受光素子を含みません。
素子付きの受発光素子基板WS09を用意しています。
受発光回路を自作する場合はLED電流制限抵抗を付けてください。
WS10EはWS08Sと同じ機能です。
違いは受発光回路の接続端子を3から2に減らして基板を小さくしたことです。
白線を走って通過する時の反応を示しています。 ①は床の反射光の強さ。②がWS10Eの信号出力。
機体へはWS10Eと、電流制限抵抗付き発光素子,受光素子を分けて組み込みます。
組み込み方に合わせて、各接続端子には、電線を直接はんだづけするか、 取り付け場所に合う 2.5mmまたは2.54mmピッチのコネクタを付けてください。 コネクタは製品に含みません。
光源のLEDを1kHzで点滅させます。
フォトトランジスタは、反射して来る光の強さを電流に変換します。
この信号には1kHzの反射光の他に不要な外光の電流も含まれます。
これを1kHzバンドパスフィルタ(BPF)に通すと、反射光の信号だけが得られます。
BPFは周波数1kHz付近の信号だけ通す回路です。
これを整流し、コンパレータで基準の電圧と比較し反射光の強弱をデジタル電圧信号に変換します。
ワンショットは'H'状態を一定時間延長します。
P2,P3の一方または両方に受発光素子を接続します。
写真は発光受光回路の接続の例です。 基板の穴に電線をはんだづけしたり、コネクタを利用する方法があります。
発光受光素子の固定にはWS09を使うと便利です。 かんたんな回路なので自作でもできます。
P1に電源,信号を接続します。
半固定抵抗V1で受光感度を調整します。
反射が少ない状態で出力値'L'(0%に近い値)、
反射が強くなると出力値は'H'(100%に近い値)になります。
WS10Eは点滅発光していますので、別のWS10E,WS08,WS04の照射範囲が重なると 他方の点滅光の影響で正しく働きません。 WS10E,WS08,WS04を2個以上を使うときは照射範囲が重ならないようにしてください。 ひとつのWS10Eから出ている発光どうしでは重なってもかまいません。
ロボットを使う技術教育の中で、電子回路や電子工作の教材にご利用ください。
発光素子、受光素子の信号は、基板の外に出していますので観測できます。
パルス発光させていますので観測にはオシロスコープが適しています。
最近低価格で手に入る低速のオシロでも十分観測できます。
受光電圧を見て、反射があるときとないとき、懐中電灯などの光を当てた時の振る舞いを観測すれば
回路の理解が深まります。
トランジスタの端子信号を見て働きを説明することに利用できます。 常にパルス信号を増幅していますので、別に信号源を用意しなくてもパルス波形が現れます。
素子を追加する際に並列にすべきか直列にすべきかの例示に 発光素子と受光素子を挙げてはいかがでしょう。
適度な部品点数ですので、はんだづけを含む基板製作の材料にも適します。
しかも実用的です。
» はんだづけをうまくするには
もご利用ください。
WS10Eは発光受光入出力が2組、WS08S,WS08Hは3組あります。これを利用して入力を増やすにはどうすればよいでしょうか。
それには、発光受光素子をそれぞれ並列化します。
そのための技術解説をします。
これには自分で配線が必要ですが、やり方が悪いと部品をこわしたり性能が出なくなったりするかもしれません。
よく理解をしてやってください。
並列化は、発光素子[LED]と受光素子[フォトトランジスタ]とそれぞれで考えます。
LEDを光らせるひとつ分の回路はこうします。Rは電流制限抵抗です。
RはLEDのアノード側にあってもカソード側にあってもかまいません。
矢印は電流をあらわします。LEDは電流を流すと光ります。
明るさは電流にほぼ比例します。
LEDに電流を流すとLEDにほぼ一定の電圧が発生します。
これを「順方向電圧」と言います。
このような電流を変化させても電圧がほぼ一定になる回路を、電源であれば「電圧源」、
負荷(電力を消費する回路)であれば「電圧負荷」と言います。
以後はまとめて電圧負荷と書きます。
LEDだけを並列にするとどうなるでしょう。 図のように電流を分け合い、それぞれのLEDの電流は少なくなるため暗くなり、 センサの感度が落ちます。
これではだめです。ではどうすればよいでしょうか。
LEDに直列に抵抗Rを入れた基本の回路の形で並列にします。
こうすると各LEDに基本の回路と同じ電流が流れます。
これで並列化できたことになります。
並列化により電源電流が多く流れるようになります。
電圧負荷を並列にすることはまちがいです。この図の回路を思いつくかもしれません。しかし
この回路ではLEDの順方向電圧の個体差により各LEDの電流に差ができます。これは明るさのムラになります。
多くの場合、ムラはあっても見た目は2個とも光るので使えなくはありません。
これは「アマチュア規格」と言って動けばいいというものづくりです。
将来会社でプロフェッショナルとして仕事をする場合にはこの設計は許されません。
フォトトランジスタ受光回路ひとつ分はこうなっています。
フォトトランジスタは光が当たると電流を流そうとします。
電流は受ける光の量にほぼ比例します。
このような決まった値の電流を流そうとする回路を、電源であれば「電流源」、
負荷(電力を消費する回路)であれば「電流負荷」と言います。
以後はまとめて電流負荷と書きます。
電流負荷を増やすには並列にすることです。 全体の電流は各フォトトランジスタに流れる電流を足したものになります。 白線検出の場合は、フォトトランジスタどれかひとつが反射光を受けると センサ全体として白線を検出した状態になります。
上記の方法でいくらでも並列にできます。
でも、LEDを並列にするほど電流が増えます。センサ基板上のトランジスタがそれに耐えられるか。
あなたのロボットの電源がそれに耐えられるか。は、あなたが考えてください。
また、フォトトランジスタの並列を増やすほど電流が加算されるので感度が高くなります。
これは、白線でないところで白線だと誤検出しやすくなるということです。
白線とそうでないところの境い目の調整がきびしくなります。
WS10E,WS08S,WS08Hでは使えませんが、知っておくと役に立ちます。
電圧負荷を増やすには直列にすることです。LEDは直列にすることで増やせます。
この利点はLEDがいくつあっても抵抗が1つですむことです。
さらに有利なことは、各LEDには同じ電流が流れて、明るさのムラが最小になることです。
ただしこの方法は、全LEDの順方向電圧を足した電圧より高い電源電圧が必要です。