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ロボカップジャパンオープン2010大阪大会 ジュニア会場の照明環境レポート

大会のようすは、記者や参加者のブログなどで見ることができると思います。
私はスタッフとして会場におりました。技術的に見て、会場の照明環境に興味を持ったのでレポートします。
この大会で色センサを使った選手や これから色センサを使いたい選手の参考にしてください。

私はサッカーAライトの主審をしていて 2試合に1回出番だったので、じっくり他の試合を見る暇はありませんでした。
ゴールの色を見る機能を持ったロボットを使った人がいれば、どの程度うまく働いたか、教えてください。


会場の写真 色補正した会場の写真
原画のヒストグラム 補正したヒストグラム
会場内をカメラで撮影したもの。
ロボットの目にもこのように見える。
人間が感じていたよりも緑がかっていることがわかる。
下のグラフはヒストグラムで、
白い矢印が写真の中で白い物が写っている部分に対応する。
画像編集ソフトを使ってヒストグラムの白にあたる部分の色バランスを調整したもの。
緑を下げて、青を上げ、RGBの明るさが一致するようにした。
こうすると色のバランスが取れた写真になる。会場にいた人はこの色を感じていたはず。
緑の矢印はサッカーフィールドの緑カーペットの色。

これらの写真は、当日持ち合わせていたデジカメ CASIO EX-FH20 で撮影したものだ。
厳密な測定器とはいかないが、 以下の設定で撮影してカメラ側での自動的な調整を無くした。

ヒストグラムの見方
ヒストグラムの例 ヒストグラムとは、横軸に画素の値、縦軸に画素の数をとってグラフにしたもので、 色別にヒストグラムにすると各色の明るさと面積の関係がわかる。
右に寄っていると明るい画素が多い、左に寄っていると暗い画素が多いことになる。
色別にするときは、(光の3原色の波長の長い側から) 赤(R),緑(G),青(B) に分ける。

天井照明の写真 色補正した天井照明の写真
原画のヒストグラム 補正したヒストグラム
会場の色を決めていたのはこの天井照明。
ヒストグラムを見ると太陽光に比べて緑が強く青が弱いことが明らかだ。
なお、このヒストグラムの矢印を付けた山は、
写真の中で最も面積の大きい白い天井に反射する光による。
上と同様に画像編集ソフトを使って色バランスを調整したもの。
緑を下げて、青を上げ、RGBの明るさが一致するようにした。
会場にいた人が感じていた天井はこの色だったろう。

中型サッカー競技場照明の写真 ヒストグラム

同じ会場の隣は中型サッカーの競技場となったいた。 こちらでは、場内を明るくするために白熱灯も点灯していた。 もちろんジュニア競技場の天井はこの赤外線を発する白熱灯は消灯していた。
中型サッカーでは、青いゴールの色認識が難しいものもあったようで、 実況解説では、青いゴールの色は暗いようだというコメントもあった。
もし、ジュニアと同会場でなかったら、窓のカーテンを開けて太陽の光を入れると、 ロボットの目にとっては色認識が楽になっていただろう。

照明の青色成分はサッカーロボットの色認識には重要だ。
なぜならば、青と黒の違いは青が有るか無いかであり、黄と白の違いも青が有るか無いかである。
青の弱い照明のもとでは、青は黒に近くなり、黄は白に近くなる。色の見分けがしにくくなるからだ。

ロボットで画像を扱うときに照明は重要で、 できればいろいろな照明条件のもとで調整をしておくのがいいだろう。
この会場と同じ色合いで試すなら昼白色蛍光灯を利用すればいい。

屋外の写真 ヒストグラム

開催期間中は良い天気で、会場となった体育館の外では 白い外壁に太陽の光が当っていた。 ヒストグラムで見ると、白い矢印を付けた壁に対応する部分はRGBが同じ明るさの位置にある。

近い将来のサッカールールには、 「フィールドはできるだけ必要な明るさと演色性を持った照明環境のもとに設置されるよう努力する。」 といった条文が追加されるのだろうか?
この時にはボールもパルス発光になっていないと見えなくなるが。